質問の受け止め方

こんな会話がありました。お相手は、顧問先の社長さんです。
社長 「社員が結婚したり子どもできたりしたら、休みはどのくらいやればいいのかね?」
わたし 「(就業規則の休暇規定の話かな?)法律的には、とくに決まっていないんですよ。会社の事情に合わせて、お決めになればいいということですよね」
社長 「出産のときもかい?」
わたし 「(産休の話かな?)出産なさるのは、社員さんですか? それとも奥さんですか? 社員さんご本人の出産でしたら、産休の期間は産前6週、産後8週と決まってますけど」
社長 「社員本人じゃないんだけど。子ども生まれると、3ヶ月とか6ヶ月とか休みをやらないといけないんじゃないの?」
わたし 「(6ヶ月?? あ、そうか)・・・ひょっとして、育児休業のお話でしょうか?」
社長 「そう、それ。それは有給で休みやるのかね? 期間は決まってるんでしょ?」
わたし 「育児休業は、ご本人が希望を出せば、お子さんが1歳になるまでとれるんですけど、有給でなければならない、という規定はないんですよ。ただ、雇用保険のほうから、お給料の2割が出て、仕事に復帰してから、さらに 5%出ることになってます。会社のほうから多少出すとしても、お給料の6割を超えちゃうと、この給付が減らされたり出なくなっちゃうんで、もし出すとしたら、6割までの範囲内のほうがいいでしょうね。もちろん、無給でもかまいませんし」
社長 「必ず休みにするってもんでもないわけだね」
わたし 「そうです。本人からの申し出があれば、ということですね。どなたか、男性で育児休業したいということを言ってる方がおられるんですか?」
社長 「いやいや、そういうわけじゃなくて。若いもんを入れたんで、どうなってるんかと思ってね」
わたし 「そうですかー。」
だらだらと書きましたが、お客様と話をしていると、相手がなにについて質問したいのか、それをつかむまで時間がかかってしまうということがよくあります。たとえば、出産・育児にかかわるものだけでも、いくつもの給付やそれにかかわる規定があり、質問するお客様のほうは、制度の正確な呼び方など、ご存じないのがふつうだからです。
なにについての質問なのかわかれば、こちらも専門家なのでそれについて説明するのはむずかしくないのですが、相手の知りたいことを的確につかむのは、単に知識だけですむ問題でもないようです。
このあたりにも、この仕事のむずかしさ、おもしろさがあると感じます。