年金を確実にもらうために今できること

少し前に社会保険事務所年金相談の窓口がたいへん混雑している記事を書いたのだが、やはりマスコミの取り上げ方、それもバラエティー番組で「このままでは将来年金がもらえなくなるかも!」不安をあおっているのが、大きな原因になっているようだ。


厚生年金がもらえない!?
実は複数の年金番号を持つ人は、年金を受け取る際、別人と判断されてしまうこともあるんです。
結婚して名字が変わった人は、特に注意が必要。
年金手帳が何冊もある人、勤め先が変わった人も要注意です。


それじゃ、一体、どうすればいいの?


解決法
一番確実な方法は、社会保険事務所に出向き、年金番号を統一してもらうこと。
窓口にある所定の用紙に、勤めていた会社の名前、住所、勤務期間を記入して提出すれば、厚生年金の加入期間などを確認してくれます。
発掘! あるある大事典『年金』2/1放映
おもいッきりテレビ」と並んで、この番組で「これが体にいい」と紹介すれば、翌日スーパーではその食品が飛ぶように売れる、という「あるある」である。これが放映されてから、年金をもらうのははるか先、という若い人が「年金番号を統合してほしい」と窓口を訪れる例が急増しているらしい。
もちろん年金番号が複数ある場合、番号を統合しておくのにこしたことはないのだが、実際の話、年金を請求する手続きをする際にやっても、別に遅くはない。「結婚して名字が変わった人は注意」などと書いてあるが、年金を請求するときには戸籍謄本を提出するから、旧姓やいつ結婚したかなどもはっきり出ているので、旧姓での年金加入期間が自分のものではないと判断されることなど、まずありえない。そもそも既婚者の半分が姓を変更しているのだから、そういう当たり前のことに対応できないわけがない。また、転職の回数が多い人でも、手元にいままで加入したときの年金手帳がすべてあるのならば、簡単に調べはつく。
では、年金手帳をなくしてしまい、年金番号がわからなくなってしまえば、その間の掛金はパーになってしまうのかというと、そんなことはない。加入したという記録は、社会保険庁のコンピュータにデータとして入っているので、それが自分のものだと証明できればよい。とくに証拠は必要なく、何年の何月から何月まで、何市のなんという会社に勤めた、ということを記憶していれば十分である。それを所定の用紙に記入して社会保険事務所に照会すればよいのである。また、この手続きは郵送でできる。
逆に、いくらデータがあっても、本人の記憶になければ、つまり年金請求の際に職歴欄に記入しなければ、社会保険事務所のほうから「この期間は記録があるので年金額に加えます」と言ってはくれない。年金相談の担当者が「何年ころに、お勤めではなかったですか?」という程度のことは教えてくれることが多いが、本人が「そんなの知らない」と言えば、それまでである。
つまり、年金保険料を払った分について、将来確実にもらうために、今できる一番大事なことは、厚生年金に加入していた期間については、いままでの職歴、国民年金に加入していた期間については、時期とそのときの住所を書き出しておくことである。転職を何度もした人ならば、手元にその際の履歴書が残っていることもあるだろう。不要になった履歴書に会社名のそばに○○市と、所在地を書き込む程度でも、十分用が足りる。そしてその紙は、年金手帳に貼り付けるなりホッチキスでとめるなり、ばらばらにならないようにして保管しておくとよい。
年金番号を統合する手続きも大切なのだが、いまそれをやろうとすると、平日に社会保険事務所に出向き、下手をすると2時間待ちである。この国のマスコミの通例として、年金年金と毎日のように騒ぐのも、せいぜい2,3ヶ月だろう。テレビでしょっちゅう話題にならなければ、年金相談の窓口も、通常のせいぜい2,30分待ちという状態に戻るに違いない。年金番号の統合の手続きはそれからでも、遅すぎることはない。ただ、自分の年金について心配し、改定の動向をきちんと見守るのは忘れないでほしいのだけど。