省庁間の連絡

特集 年金改革「空洞化対策」


こうした配慮の一方で、それでも保険料を納めない人への対応も強化する。その柱として検討しているのが、未納者が所得税社会保険料控除を使えないように、社会保険庁が未納者のリストを国税庁に提供することだ。
パートやアルバイトなどで多少収入のある家族を、扶養親族として年末調整を行ったら、数ヶ月してから「収入が多いので扶養親族に該当しません」と追徴のお知らせが来るということは、経験した人もいるのではないかと思う。その家族の勤め先からの給与支払い報告書によって、確認しているのである。だがこれは税務署(国税庁)内部の話で、ことが社会保険の被扶養者の認定となると、家族の収入がいくらあるかというのは国税庁から社会保険庁に連絡されないので、確認はできず、あくまでも自己申告ということになる。ただし、被扶養者が年金を受給している場合は、虚偽や間違った金額で被扶養者の認定を求めてもばれてしまうことが多い。これは、年金の受給額と健康保険の被扶養者の情報は、同じ社会保険庁内部のデータだからである。<%=fn '年金のデータは本人の委任状無しには担当以外のものが見たり、別の用途(被扶養者の認定)に使用してはならないはずであり、これは本来違法。' %>
この検討項目は、このような省庁間の連絡を行うというものであり、簡単に書かれているが、これが実現すれば、上記のような例だけでなく、失業給付の受給者の収入の確認など、現在省庁をまたいでいるために確認できずにいることがらへの影響が、いずれ出てくるのではないだろうか。行き着くところは、国民総背番号制か。住民基本台帳ネットワークに関してのさまざまな議論が、案外こういうところからなしくずしにされていくのかもしれない。