県ごとの行政

最近、顧問先が別の県にある支社を分社化し、わたしがそのまま社労士業務を担当することになった。とはいっても、たいていの業務は郵送でできるので、さほど問題ではない。だが、社会保険の新規適用だけは、お客様の希望もあって、支店のある県の社会保険事務所まで出張することになった。
前もって電話で担当者と打ち合わせをしてあったのだが、細かい事務の手順や、用紙が栃木とは違っている。法律はひとつなのだから、ほんとうはおかしな話だが、実際にはそれぞれの県や社会保険事務所の裁量がある程度認められているのである。
事務の手順などの問題であれば、被保険者にはさほど関係ないが、被扶養者の認定日が、やはり一番問題となる。
実は、健康保険法や、厚生年金保険法には、被扶養者の認定日がいつになるか、ということについては明文の規定はない。そのため、県によっては届出した日が認定日、としているところもあるのだ。たとえば、10月1日に結婚したとしても、妻を被扶養者にする手続きが遅れ、届出が11月5日になったとする。そうすると、被扶養者として認定されるのは、11月5日から、というところがあるのである。
法の精神を考えれば、当然「その事実が起こった日」に遡るべきものなのに、こういう扱いがまかり通っているのは、まったくおかしな話である。それも、全国一律そういう扱いならまだ筋が通るが、結婚した日に遡れる県と、届出日からしか認められない県の両方がある。明らかに法の下の平等に反した状態である。
などと長々と書いたが、出張先の社会保険事務所では、被扶養者の認定は事実の起こった日に遡って認めているということで、安心した。1ヶ月以上届出が遅れた場合は、遅延理由書をつけること、といわれたが、これは栃木も同じである。