配偶者を被扶養者にするとき

配偶者とは、夫または妻のことである。と書くとあまりに当たり前のようだが、その内容は制度によって違っている。つまり、所得税法では配偶者として扱われるためには法律上の婚姻が必要だが、健康保険や厚生年金など社会保険では、「届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む」となっており、事実婚でも配偶者に含まれるのである。
そうなると、実際に結婚した際に相手を自分の健康保険の被扶養者にしたいというとき、いったいいつから被扶養者になれるのか、という問題が出てくる。わたしはお客様には、婚姻届を提出したときだけでなく、結婚式の日や、同居が始まった日でもいいんですよ、と言っている。
さらに、結婚相手がそれまで勤めていて結婚を機にやめた場合、すぐに被扶養者になれるか、という点もよく質問される。所得税法の扶養親族になるための年収103万円(給与所得のみの場合)という基準はよく知られていて、「今年はすでに150万くらい稼いだから、もう扶養には入れませんよね」と言われることもある。健康保険でも、被扶養者になるためには、おおよそ年収130万円以下という基準がある。だが、その「年収」というのは、所得税法のように暦の上の1年で区切って見るのではなく、これから先どの程度収入があるか、ということで考えるのである。勤めをやめて、そこから先の収入がゼロになれば、たとえその年にすでに稼いだ金額が130万を越えていてもよいし、同居なり挙式したなり、常識で考えて「夫婦です」と言える状態であれば、社会保険の被扶養者になることができる。ただ、雇用保険の失業給付を一定の金額以上受けている間は、被扶養者になれないので注意が必要である。*1
また、被扶養者になるためには、130万円という基準のほか、その収入が被保険者の収入のおおよそ半分以下でなければならない、という基準も満たさなければならない。